グッドバイ SONY DSC-RX1
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2012年の11月にSONYがコンパクト デジタルカメラ ラインのCybershot RXシリーズに、これまでの常識を覆す革新的なカメラを投入した。
DSC-RX1と名付けられたそのカメラは、113.3 × 65.4 × 69.6mmという平均的な成人男性の手のひらにすっぽりと収まる小ぶりなサイズながら、フルサイズ CMOSセンサーとカールツァイス f2.0 / 35mm 単焦点 “バリオ・ゾナー T*” レンズというモンスター級の性能を備えたものだった。
小さくてカバンに出し入れしやすく気軽に扱えて、それでいて写りが抜群のカメラ。それが自分がカメラに求める至上の条件で、同じラインで展開されていたDSC-RX100のユーザーでもあった自分には、RXシリーズの性能は折紙付きであることが分かっていたので、まさしく飛びついた。本体価格で25万円に外付けのEVFも購入すると30万円近くになりコンパクト デジタルカメラとしては破格の値段だったが、同等の性能の一眼ボディとレンズを揃えることを考えれば安くもあった。
とにかくさまざまな点で尖っていたカメラだった。
事実。撮影したデータを見るたびに毎回驚きがあり、自分の写真の腕が上がったのではないかと錯覚してしまいそうになるくらい、絞れば細部まで信じられないほど良く写るし、それでいて開放では最上のボケ味を見せてくれた。あとは本当に自分の腕次第。うまくいかなくてもカメラのせいには微塵もできない。自分の実力が丸裸にされてしまう怖いカメラでもあったのである。
そしてカメラに対しそのレンズ専用のチューニングが究極的に成されているのは、レンズ交換式カメラでは味わえない単焦点据付レンズのカメラならではの醍醐味だと思う。
だが最近、そのRX1に別れを告げて別のカメラへと移行をした。手放さず追加購入という形も考えたが、新しいカメラの個性がRX1にかなり通ずる面があり、かつRX1における不満点をクリアしたものだったため、出番がなくなることが容易に想像できたので潔く引退をしてもらった。
フィレンツェ・バルセロナ・ヨルダン・鎌倉はじめ、日常で様々なものや出来事を記録してきたカメラだった。手放したことを後悔せぬよう次のカメラも徹底的に使い倒すことを決心しつつ、RX1をフェアウェル的に振り返っておく。
あれ、やっぱりちょっと後悔してるのかなこれ。