スタンド ワーキングを導入した

さよならアーロンチェア

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やばい、肩こりが。

この仕事に限らずデスクワーカーは肩や腰、目や首などに多かれ少なかれ凝りや痛みを感じている人が多いのではないでしょうか。自分の場合肩が酷いらしく、酷い割にはあまり痛みなどは感じていなかったのですが、ある日髪を切りにヘアサロンへ行ったら、カット後のマッサージ サービスで触れられた瞬間、スタイリストに(え…)と凍りつかれた。「おのさん、、なんか鉄板みたいなんですけど。」なにが?「いや、だから、肩があるはずの場所に鉄板があるみたいなんですけど…。」と。

曰く、それまでも結構凝ってるなーと内心思い続けてきたのだが、その時は想像以上でびっくりして声が出てしまったらしい。いやまあ自分でも凝ってるなーとは思ってましたけど。そう言われるとなんだかやばい気がして整体とかも行ったは行ったのだけど、あれって単発で行く程度ではその場しのぎになってあんまり解決にならんのですよね。

じゃあどうしようかな、と思って行き着いた先が自分でも極端だとは思いますが、以前から気になっていたスタンド ワーキングを取り入れることでした。もう読んだままですが、「立って仕事をする」ただそれだけのことです。スタンド ワーキングは欧米でトレンドになりつつあるようですが、得られるメリットや効能については以下の記事を参考にしていただければ。

無印良品の「組み合わせて使える木製収納」が有能

とはいえ、立って仕事をするとなるとそれまで使っていたデスクは使い物にならなくなる。デスク・オン・デスクな形も考えてみたけれど、27インチの Thunderbolt ディスプレイを支えるとなると相応のしっかりしたものが必要になるし、その前にとりあえずダサい。そういうわけで「スタンディング デスク」と呼ばれるスタンド ワーキング用の机を探してみると、なるほど結構な種類が出回り始めてる。その中から自分の食指が動いたのが “Refold” だったわけなんですが。

© Refold

うん、ええ感じ。なのだけれど BUY NOW してしまう寸前で、ダンボールに 250ドル… ない、ないないっ。と我に返った。で、自宅に何か代替物がないかなと見回してみると、あるじゃないですか。数年前に買った無印良品の「組み合わせて使える木製収納」のハイタイプ本棚が。

試しに棚板を何枚か外して高さを調整したら、横幅・奥行きともディスプレイとキーボードやトラックパッドを並べてまあ使えなくはないなという状態で見事に収まった。細かいことを言うと、ディスプレイの電源や入力ケーブルなどの引き回しで棚板の隅に「穴」を開けなければならなかったのですが、あまり見えない部分だしノコギリで必要なだけ切り落として仕上げた。へたなことをしても後から追加でパーツを買って現状復帰したり違う目的への転用が利く、無印良品の「組み合わせて使える木製収納」や「スタッキング シェルフ」はひじょうに有能。

そんな感じでスタンディング デスク代わりに使い始めましたが、副次的な効果としてディスプレイが棚の奥まった位置にいくので横からの光の影響を受けにくくなり、ディスプレイ自体の光量をこれまでより落としても問題なくなった。目に優しそう。

さよならアーロンチェア

この仕事はとにかく座っている時間が長い。そういう仕事の仕方が良いかは別として、繁忙期には睡眠と食事の時以外ほとんどデスクで過ごすこともある。なので身体のために「いい椅子(といいベッド)を買うことに出し惜しみをするな」という不特定多数の先人からの教えもあって、7年前に奮発してハーマンミラーのアーロンチェアしかもフル装備を15万円ほど出して買った。当時引っ越しと重なって飛ぶようにお金がなくなっていたので財政的に非常にきつかったし無駄に大きいし重いが、ただ座り心地だけは本当に良かったし、この椅子に座って、元を取るにはあまりある分は稼いだので良かったと思う。

それが突然、主人の浅はかかもしれない思い立ちによって座られない椅子に役ばらいされてしまった。そうなるとこれまで使っていたデスクとともに場所を取るだけの代物なのでだいぶ迷うところはあったがリサイクルショップに買い取ってもらうことで処分した。

7年も使って2万5千円だったので少し得はした気分なのだけど、売ったそばから若干の後悔に襲われていることは言うまでもない。

2週間経った

自分の場合、週の2日ほどは代々木の事務所に通っているので実質週3日スタンド ワーキングという状態で、とりあえず2週間が経った。この2週間は立ち続けるのが苦痛でしかなかったけれど、だんだん慣れてきた自分がいる。今のところ、


  • デスクに向かっている間、SNSの閲覧など余計なことをあまりせず集中しやすくなった。はよ座って休憩したい(苦笑)と思うので、今やっている作業(をとっとと終わらせての1ブレイク)へのモチベーションが上がった。

    スタンド ワーキングを続けると立つ苦痛はなくなってくるそうなので、その時にまた何か変化が起こるのかもしれない。

  • 肩や首の凝りが軽減されたほか、腰痛については全く起こらなくなった。代わりに、足の裏・ふくらはぎ・腿と、下半身に筋肉痛が起きたのには驚いた。普段からランニングなどで多少は動いているつもりでいたけれど、そもそも走るのと立つのとでは使う部位が異なるのかもしれない。自分の場合には今は足裏の痛みが一番厳しいので、部屋履きでニューバランスあたりのソールのクッション性が高いスニーカーが欲しいかも。

    スタンド ワーキングの場合続ければ多くの人に体型に良い方向の変化が起こるらしいので半年後を楽しみに続けてみようと思う。

  • 食後の14時前後、胃に血流が集中して途方もない睡魔に襲われて何も出来ないことが多くなっていたが、スタンド ワーキングにしてからはそれがだいぶ軽減された。どうしても眠い場合には15分ほど横になって寝てから戻ると、立つことの相乗効果もあって驚くほど頭がすっきりすることに気づいた。

  • デスクから少し離れた場所にある物や資料を取りに行くのが億劫でなくなり、後回しにせず直ぐに取りに行けるようになった。

  • デスクとアーロンチェアを置いていたスペースが空いて部屋が広くなった。

  • デザインの構成やプログラムのロジックに煮詰まったとき、体をストレッチして心地よい刺激を与えつつ気分転換できるようになった。デスクで悶々と考え続けるよりも、ちょっと散歩に出てみたらすんなりと解決策が出てきたというような経験ってあると思いますが、それと似た効果が出ないか期待。

  • あまり立ちながら物を食べる習慣がないからか、お菓子など間食が減った。


という感じです。デスクと椅子を処分して引くに引けない状況に追い込まれたこともありますが、やってみると意外にも続けられそうな気がする。ただ、あまり長時間立ち続けるのもまた良くないし繁忙期の徹夜仕事にはさすがに耐えられそうにないので、疲れたけれどデスクを離れられない時のために古家具屋にバースツールでも物色してこようかと思ってます。気にいる物があればええなあ。